歴史ある寒河江で最上三十三観音巡り

山形盆地の北寄りに位置する寒河江市といえば、県内でも有数のサクランボ栽培の盛んな土地として知られていますが、同時に古くからの歴史や文化の根付くまちでもあります。

もしもこの地域を観光するのであれば、悠久の歴史や文化に触れるという意味でも、市内の有名どころの寺社巡りをしてみるのがよいでしょう。

実際に巡拝するルートはいろいろと考えられるところですが、たとえば国史跡に指定されている慈恩寺、かつて一帯に設けられていた荘園の総鎮守にあたる寒河江八幡宮とともに、最上三十三観音の札所を加えるという選択肢があります。

最上三十三観音は室町時代にはすでに成立していたとされる観音霊場の巡礼コースのひとつで、国内であれば他にも西国三十三所のような事例を見ることができます。

世の中が平和になった江戸時代には、このような霊場巡りが全国各地で誕生しているものの、最上三十三観音のように、江戸時代よりも前に起源をもつ事例はなかなか珍しく、それだけでも巡礼の価値はあるといえます。

市内では諸願成就の御利益があるという長岡観音長念寺がその札所であり、寒河江城主の大江氏の祈願所となっていたという格式もあわせもっています。

境内には桜やつつじなどの草木に彩られた心落ち着く庭園があるほか、堂内で貴重な五智如来像や不動明王像なども拝観することが可能です。

特に年配になってから巡礼を志す人にとっては、神社仏閣に付き物の長い石段がネックとなりますが、ここは境内がバリアフリー化され気軽に立ち寄れるようになっているのも嬉しいところです。